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The Hate U Give by Angie Thomas; ティーンエイジャーとBlack lives matter
16歳の主人公Starrは幼馴染Khalilが警官に射殺される現場に居合わせる。当初はその悲しみと自身や家族が脅かされることへの不安から、目撃者であることを隠すものの、Khalilや黒人に対する不当な評価に憤りを覚え、やがてBlack Lives Matter運動に身を投じる。
作者のAngie Thomasは2009年にカリフォルニア州で起きた黒人青年に対する白人警官による射殺事件に衝撃を受け、この小説を執筆した。2017年に出版されると、The New York Times誌によるYoung Adult best-seller listのトップにランクされなど大変な注目を浴び、2018年には映画化された。日本語版は「ザ・ヘイト・ユー・ギヴ あなたがくれた憎しみ」(服部理佳訳、岩崎書店)。
この小説が素晴らしいのは、Black Lives Matter運動の背景にある人々の怒りや悲しみを克明に描くだけでなく、一人の少女が黒人社会と白人社会の狭間でアイデンティティを確立させ成長する過程を瑞々しく表現したところである。自己と他者との関係性の再定義は、ティーンエイジャーが普遍的に経験する課題であり、この観点を加えることによって、読者は人種を超えて主人公に共感し寄り添うことが可能となる。
Audibleのナレーションも臨場感と説得力があり、すべての人物が見事に演じ分けられていた。Bahni Turpinはこのナレーションを評価され、Odyssey Award for Excellence in Audiobook Productionを受賞した。
冒頭は辛いシーンだが、ナレーションにぐいぐい引っ張られ、一気に最後まで視聴した。素晴らしい小説を届けてくれたAngie ThomasとBahni Turpinに感謝。
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The Body Book by Cameron Diaz;チャーリーズエンジェルの土台
Cameron Diazは笑顔が最高にチャーミングな女優だった。マスクに始まり、ベストフレンズウエディング、メリーに首ったけ、チャーリーズエンジェル、ホリデー、Annieに至るまでどの映画でも輝いていた。引退したとも報じられる彼女だが、最近はインスタグラムでPersonal growthについて情報を発信している。
そんな彼女が数年前、2冊の本を出版した。その一冊目がこの”Body Book”である。40代に差し掛かった彼女が自身の身体とどのように向き合ってきたかを告白している。ティーンエイジャーの頃は何を食べても細身だった身体が年齢を重ねて変化した過程や、チャーリーズエンジェルの撮影で武術のトレーナーに出会い身体を徹底的に鍛え直したエピソードなどが興味深い。また、ただの回想録ではなく、読者にも自身の身体と向き合うことを勧め、栄養、運動、休息について科学的に解説している。
Audible版では、前書きと後書きをCameronが朗読する。本文についてはCameronの声と親和性が高いナレーターを起用しているため、Cameron自身から話しかけられ、励まされているような気がする。折に触れて聞き返したい一冊。
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The Midnight Library by Matt Haig; 別の選択肢を選んだ人生を覗いてみたら
洋書はAudibleで読む(聴く)ことがほとんどだ。ゆっくり座って読書を楽しむ時間をとりづらいこともあるが、一番の理由は英語で長い本を最後まで読み切る体力がないことだ。上手なナレーターさんに読んでもらえれば、途中で息切れをしてもなんとか最後までたどり着ける。
人生のどこかのタイミングで異なる選択をしていたら、今頃どうなっていただろう?誰しもが考えたことがあると思う。The Midnight Libraryは人生に行き詰った主人公が、過去に異なる選択をした場合に生じ得た幾通りもの人生をお試しで経験するパラレルワールドものの小説だ。辛いことが重なってオーバードーズをした彼女は、生と死のはざまの間だけ滞在できる真夜中の図書館に入る。そこには、これまでに違う選択肢を選んだ場合の”人生”を描いた無数の本がある。ミステリアスな司書の案内に従ってそれらの本を開くと、異なるバージョンの”人生”に入り込むことができる。スターになったり冒険をすることになる選択もある一方で、些細と思った選択が他の誰かに大きな影響を与えることもあるということを彼女は次第に理解していく。
読後感が爽やかであった。小さなことの大切さを今一度確認する。ナレーションははっきりとした発音で聞き取りやすい。一つ一つのバージョンの”人生”が小話的になっているので、隙間時間を利用した視聴にも適していると思う。幅広い年齢層の人が楽しめる一冊である。